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SKINAMARINK/スキナマリンクのnetfilmsのレビュー・感想・評価

SKINAMARINK/スキナマリンク(2022年製作の映画)
3.4
 「躙り寄る悪夢」との触れ込みだが、確かに言い得て妙である。100分間ずっと怖いが続く。稲川淳二なら「まだかな~まだかな~」なのだが、一向に「怖いな~怖い」的な何かが眼前に現れることはない。例えるなら怖さで輪郭だけ丁寧に縁取りしていくのだけど、中身がない感覚。何か似ている肌感の作品があったと思ったら、直近では『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』が思い出される。人々の悪夢を再現した短編映像をYouTubeチャンネルに投稿し、新鋭の映像作家としてキャリアを重ねるカイル・エドワード・ボールのこの衝撃的な長編監督デビュー作は、制作費わずか15,000ドルにもかかわらず、692館という異例の規模で北米公開。その勢いはとどまらず、最終興行収入約200万ドルと驚異の数字を叩き出したというから驚きなのだが、何だか『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を初めて劇場で観た時の感覚を思い出した。個人的にはホラーなのか前衛映画なのかはっきりして欲しい気持ちに駆られた。これをイメフォかユーロスペースで上映すれば、うっかり現代のシュールレアリズム映画で行ける。シュールレアリズム=エンドレス悪夢とは完全にイコールではないがニアリーイコールなのかもしれない。『ポルターガイスト』的な何かを期待したがそれにしても何も起こらない。正に側だけ縁取りだけの映画。ジョン・ケージの『4分33秒』のレコードを爆音でかけると確かにこんな感じになりそう。
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