けんいち

コット、はじまりの夏のけんいちのレビュー・感想・評価

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
4.0
ローリングストーン誌の2023年映画ベストで6位に選出され激賞されていて気になっていた作品。

監督のコルム・バレードは今作が長編劇映画一作目だそうですが、驚くほど完成度の高い作品です。
しかし心温まる話を期待するとちょっと違う。もっとアート系で厳しい作品でもあります。

極端に無口で人見知りが激しく、自分の気持ちを他人に伝えられなくて変り者扱いされている少女の一夏の成長物語というあらすじはその通りなのだが、分かりやすく登場人物の気持ちを説明してくれたりしないし、誰もが心に抱え込んでいるわだかまりや整理しきれない気持ちが作品全体に薄い影を落としている。

選び抜かれた構図に美しい撮影と的確な場面転換。抑えた演技と削りに削った数少ない台詞。全編を静けさと緊張感が支配して、監督の妥協の無い作家性がうかがえます。台詞に頼らない描写の中に浮かび上がるエモーションが胸を打つ映画です。

田舎で悩める子供が主人公というと今年観た「ミツバチと私」も静かな映画でしたが、本作と較べるともっとのんびりした映画でしたね。

良い映画なのは間違いないと思いますが、個人的にはラストシーンがもうひとつ納得いかないのと、コット役のキャサリン・クリンチさんが役柄に対して美少女すぎると思うんですよね😅別にいいんだけど🤩