けんいち

ピクニック at ハンギング・ロック 4Kレストア版のけんいちのレビュー・感想・評価

3.4
1980年代のピーター・ウィアー監督作品が私は大好きでした。「誓い」「危険な年」「刑事ジョン・ブック 目撃者」など傑作揃いだったし、怪作「モスキート・コースト」もリヴァー・フェニックスの色気と危うい佇まいが忘れられないし、ラストシーンが感動的でした✨

私は当時、この監督をシドニー・ルメットのような社会派娯楽映画の人だと思ってたんですよね。

だから86年に本作が日本初公開された時は困惑しました😵‍💫
何が言いたいのか私にはさっぱり理解できなかったからです😢(映画自体は75年製作)

あれから約40年経ち、今回公開された4Kレストア版はオリジナルプリントより10分ほど短いディレクターズカット版ですが、為す術が無い映画という印象です😿

3人の女学生と1人の女性教師が岩山で姿を消してしまう序盤は興味深く観れるのですが、失踪事件の後、それまでの平和で穏やかな学園の日常が為す術も無く崩れ去っていくのと同時に映画そのものも為す術も無く崩壊していくようでした😅

少女たちが消え、残された人々の戸惑いと混乱を丸ごと描きたかったのかも知れませんが、結果としてみんながオロオロしているだけの、焦点がぼやけた作品になってしまった印象です。

序盤で岩山に登っていく3人の少女が次第にトランス状態になっていくあたりはけっこう面白いんですけどね(あくまでお淑やかなトランスなんですが、それがまた面白い)

人間が不意に消えてしまうことの不気味さや恐ろしさが表現されていないのが残念です。