けんいち

ミッシングのけんいちのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
3.8
映画ジャンルとしての「胸糞」ではなく、ひとつの体験としてとてもシンドい映画でした

幼い娘が行方不明になり日常が崩壊してしまった母親の救いのない地獄巡りに付き合わされる120分です。
ノーガードでサンドバッグ状態の石原さとみをイヤというほど見せつけられてもう勘弁してくれと思いました😵‍💫

ずっと😥😱🥺😿みたいな顔で観てました。家で配信等で観てたら途中で停止ボタン押していたと思います。物凄い力作ですが、私はこの映画好きではないです。

残酷な意匠が次々に投入されるのだが表現として昇華されてないと思います。
桐野夏生の「柔らかな頰」という小説があって、この映画と似た話なんですが、私は桐野さんの小説の方が上だなと思いました。
吉田恵輔監督はもっとウェルメイドに作れる人なので、意図的になんでしょうが今回は投げっぱなしな印象です。

それでも会話のちょっとしたすれ違いが生む苦笑いギャグはやっぱり名人級の巧さで、笑えばいいのか泣けばいいのか分からない心を抉るギャグが色々ありましたね😹
特に「虎舞竜」のくだりはどんな気持ちになれば良いのか分からず椅子の上で悶絶しました。今年最高の名(迷)シーンです✨(ここを観るためだけにこの映画を観てもいい!)

石原さとみは物凄い力演なんですが、これで俳優としてステップを一つ上がったみたいな評価をされるのはちょっと違うと思うんですよね。

私には「可愛い石原さとみがめちゃくちゃガンバってる」ように見えただけでした。すいませんが。

最後については救いがあったと感じる人もいるでしょうが、私は深い徒労感だけが残った印象です。

5月25日追記。
今日、2回目の鑑賞をしてストーリーを知った上で観ると最初観た時とは少し印象が変わりましたね。
ラストシーンは一種の救済なんだと思い直しました。

それと登場人物それぞれが優しさを持ち合わせていることに今更ながら気づきました。

最初の鑑賞ではぐったりして涙も出なかったんですが、観直したら恥ずかしいくらい泣けて泣けて参りました🥹