《コット、はじまりの夏》
目に見えるものが全ての幼いコットに見えない光が差した夏休み。献身的に寄り添う叔母と、不器用な叔父と解きほぐされる関係。静かな情景はいつも断片的。そう"大事な事は目に見えない"から。日々の生活の中で癒しながら癒やされている。
丁寧に髪をとかす、爪を整える、おさがりの服、小さなビスケット、じゃがいもの皮むき、新しい服、チョコアイス、大きなバケツ、粉ミルク、全速力で走る、死と隣り合わせに日々がある、相手を尊重する、気にかけること。生活をするということ。
設定もプロットも展開も、結末すらもありきたりで想像出来る範囲内のごく普通のなんてこと無い話なんだけど、そのひとこと、そのまなざし、ワンカットの集約で唯一無二の作品になってる。スタンダードサイズの画面もこの世界にぴったり。
出来すぎた感のある叔母叔父の"建前"的な生活と親戚の"本音"的な生活の両面をコットに見せているところが綺麗事で終わらせずコット今後の実家の見え方の変化するだろうと思わせる。ビクトル・エリセや杉田協士を思わせる作品世界がシンプルなストーリーに光を与えている
ラストありゃ泣くわよ年ベス有力候補。
傑作。。