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コット、はじまりの夏のhasemaのレビュー・感想・評価

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
4.2
後々まで残る映画というものがある。
これもその一つになるだろうなと見終わった後確信した。
特別なことが起こるわけでもない。両親に虐待されているわけでもない。きょうだいがいないわけでもない。ただ、少し貧乏で、少し両親が生きるのが下手で、国も豊かではなくて、自分に向けられる視線が十分でないというだけ。
大人たちも同じだ。
みんな寂しい不器用なところを持って生きている。
その描き方が沁みる。
「ネガティヴケイパビリティ」という言葉があるが、それぞれが消化できない「ネガティヴケイパビリティ」を持ち続けている。

大人が作った子どもの映画だなと思う。
映像の切り取り方も素晴らしく、いつまでも反芻することになる映画だと思う。
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