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アダマン号に乗ってのhydrangeaのレビュー・感想・評価

アダマン号に乗って(2022年製作の映画)
4.5
セーヌ川に浮かぶ船のような建造物が精神科のデイケアの場で、水平に開閉する鎧戸に覆われている外観はノアの方舟のようだ。
登場人物は皆、言葉や音楽や絵や身体を用いて、のびのびと自己を表現する術に長けている。とりわけ、若い頃から精神科医やカウンセラーと対話を重ね続けてきた彼らの語りは熟練の域に達していて、その饒舌さが羨ましい。どれもこれも私自身のことのようだと思った。また、想像と妄想の垣根のなさが芸術的でもあった。
水面に映る陽の光が始終美しく、空中を走るメトロは牧歌的。最後のシーンで、冬の白い朝に乗船する厚着の乗組員たちの様子が無性に愛おしくなった。

冒頭でLa bombe humaineを歌う男性、本当のロッカーだと思った!
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