自分の中に記憶で出来た構造物があるとしたら、きっとそこにはヴォイドもある。欠如した何かを埋める物語は他にも色々あるけど、#パストライブス は静かで繊細。見過ごしてしまうような景色、何も起こらないニューヨークの日常と一緒に、ぎこちないやり取りが切ない。
CJENMとA24によるインディー作品がこれだけ共感を呼ぶのは、パラサイトやベイビー・ブローカーやミナリという具合に、アジア系の物語の中に普遍性を見出すトレンドもあるけど、やはりいつでも物語というのは記憶から拭えないパーソナルな部分から始まり、つまりこれはセリーヌソンの自伝でもある。