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パスト ライブス/再会のせっのレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
3.9

たられば、たられば。

かつて子供の時恋心を抱いていた2人が、ノラの一家の韓国移住により離れ離れになり、24年越しに再会する話。

もしあの時こうだったら?次の人生では結ばれる?あの時確かに想いあってた?的な、なんともノスタルジーとエモを引き出されるような話だけど、映画の中にはしっかりと2人の現実的な隔たりが横たわっていて結構キツかった。2人が想い合っていた時があるのは確かだけど、1度目の"再会"から既に二人の間には距離以外のギャップがある。

ヘソンの名前もうろ覚えなノラとずっとノラを探し求めていたヘソン。
言ってしまえばヘソンは、幼い頃の"ノラショック"をずっと引きずり続けていて、その反面ノラはヘソンのことを「韓国で過ごした少女だったあの頃の記憶」として丸ごと愛しているように見えた。

ヘソンの方も、狭いアパートとはいえ世界一の都市に住み、バリバリ仕事もしてるノラが初恋だったから、無意識に男としての劣等感を募らせて人生に多大な影響が出てしまっているのがホラーに感じた。さらに、まだ普通の大学生のヘソンに向かって「いつNY来れるの?」と軽口叩いたり、再開したらしたでヘソンを「韓国的」と連呼するノラのダサさも自分のダサさと重なるところあってズブズブ来た。

最後のノラの涙は、過去が本当に過去になってしまった涙なのかなぁと。ノラのダサさもヘソンがいるから出てきたダサさに感じて、アーサーと過ごしている時はもっと「米国的」な女性なんだろうな。故郷に帰るつもりもないけど、もうあそこに戻らないし取り戻すこともないとわかると急に寂しくて悲しくなる。

あと、バーでもずっとタラレバ話、別れ際もタラレバ、多少嫌気がさしてしまった(笑)
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