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パスト ライブス/再会のchaooonのレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
4.0
一方の海外移住のため離れ離れになった幼なじみの男女の月日を経ての再会やすれ違いを描くアメリカ・韓国合作のラブストーリー🇺🇸👫🇰🇷

今年度アカデミー賞🏆作品賞・脚本賞の2部門でノミネートされた作品✨
予告を観ても特別仕掛けがあるわけでもなさそうだし、なんの変哲もないラブストーリーに思える今作のノミネートが率直に不思議で鑑賞🤔

これがまた、ロマンティックな展開が何も起きないけど、それが究極にロマンティックというなかなか異色の恋愛ドラマだった🥹💕
これ好きだった✨✨

ノラが海外移住する12歳まで韓国で暮らし、ほのかな恋心を抱き合っていたノラとヘソン👧🏻👦🏻
初恋の12歳❣️
SNSで再会する24歳💻
そしてNYの地で念願の再会を果たす36歳🗽
12年毎に展開する2人の別れと再会。

韓国とアメリカ、遠く離れた土地を舞台にするラブストーリーだけど、主要な登場人物は3人。
悪い人間はいなくて皆んな誠実で、特別大きな波乱もなく、ただただ切なくてもどかしい。

仏教の輪廻転生や縁(=シニョン)をテーマにした今作は、現世や来世の広がりや可能性を心地よく与えてくれる✨
この素朴で静かな物語やアジア圏の思想が海外で受け入れられてるというのが不思議な感じする✨

12年毎の再会。
この12って数字も一つの単位として意味深く感じたけど、仏教だと十二因縁って概念があるそうなので、それにも掛けているのかな😌






⚠️ここからはネタバレかも⚠️










波乱や展開がほとんどないどころか、ノラとヘソンには結局最初から最後まで"関係"は何も生じていない。
かと言って純愛とかそんな単純なモノでもない。
本当に映画としては不思議な作品。
でも自分の人生に当てはめて胸がどうしょうもなく騒つく、共感性と引力のある物語🥹

月日を経て再会するラブストーリーというと大好きな『恋人たちの予感』があるけど、少し通ずるとこがあったな。
紆余曲折ある長い人生の中でいくつかのすれ違いを重ね縁を結び、かけがえのない相手に気付いて結ばれたサリーとハリー。
その枠を一生から更に拡大して、ノラとヘソンは現世を超えて前世、来世に渡って縁を重ねていく途中段階なのかと思うと、いつか…に想いを馳せてしまう。
ifの世界を想像するのは『ラ・ラ・ランド』みもあったな🥹

冒頭、3人の関係をああでもない、こうでもないと推測する第三者の会話にも、一見人種の話かな?と思わせて、イニョンの可能性が示唆されていて構成が上手だなと✨

問題提起的に出すのではなく、さりげなくアメリカで生きるアジア系移民の姿や、同じ韓国で生まれ育った2人でありながら環境が生み出すアメリカ的、韓国的な思考や文化の違いを描いていたのも興味深かった。
ノラが何度も「韓国的、韓国的…」って会話の中で言ってたの印象深い。

国際結婚、文化の違い、言語の違い、そこに生まれる距離感と不安。ノラの夫のアーサーが抱える想いもなんだかじんわり来た🥹

人生一度きり、後悔のない人生・選択を…なんて思ったところで、人の短い一生の中で選び取れるモノは限られてるし、タイミングや巡り合わせで諦めざる終えないことは幾らでもある。
それは恋に限らずあらゆることで。
縁の積み重ねが現世だけで終わらず前世、来世と積み重ねて行けて、今ここじゃないどこかで、果たせなかった想いが報われる時があるとしたら、なんだか救われる気がする✨✨
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