ゾロ

パスト ライブス/再会のゾロのネタバレレビュー・内容・結末

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

無茶苦茶、良かったなぁー
 
再会という視点で鑑賞したので
“再会の行方と結末”大人の恋とは…?

そんな、物語を想像してた…

全然、違ったー

パスト【過去】ライブス【現在】と変換
物語のキーワードは【縁ーイニョンー】

というわけで、ネタバレ無し推奨!

脚本と編集が、見事すぎる!!

【秀逸な脚本】
違和感を感じたOP
BARで呑む三人組の関係を
酒のつまみにしている傍観者の声で始まる

えっ、三人の恋の行方…過程?
明かしちゃうんだ?が最初の感覚

映像ではなく文脈で回収される伏線が
鳥肌モノで見事すぎた…(後述)

ゆったりと、丁寧に描かれる三人の心情と
それぞれの関係性

【見事な編集】
好きなシーン①
ノラが洗面所でクリームを塗りながら
アーサーが洗面所の方を向きながら
二人が話すシーン
話す内容と、定点カメラの映像が良い
お互いの顔は直接見てないけど、
表情は鏡越しに見える
心の距離感とオープンな関係…

そして
次のカットでホテルの部屋にいるヘソン
カメラは動き続け最後は窓ガラスで
自分を見ているヘソンのカット
閉鎖的ない空間と孤独感…

この対比が良かった


【共感ポイント】
過去を大事に思い出を美化する夢想家の男性
未来を大事に過去は過程と現実主義の女性

あーどちらも解るなーという

好きなシーン②
ベットで二人で話すシーン
アーサーの絶妙さ!
悲劇のヒロイン願望も…
13時間かけて会いにくる気持ちも…
初恋の大事さも…
多分、男と女の思考の違いが最も明確なシーン


【脚本の妙】
そして、話の展開から
冒頭のBARのシーンへの展開が予想され…
んっ?何故先に描いた?となるが…

あの空間、あの出来事
出会う事が無かった二人
言葉も通じない二人
ノラという媒体が無ければ接点は無い
交わる可能性があったのか?
【縁ーイニョンー】

結ばれる【縁ーイニョンー】
結ばれない【縁ーイニョンー】
過去の【縁ーイニョンー】
現在の【縁ーイニョンー】
未来の【縁ーイニョンー】

壮大な話に感じるが劇的な展開も奇跡も無い
美男美女でも、社会的成功者でも
誰もが羨むような人でも関係でも無い
それは、自分たちを投影した身近な世界


【色、音、明暗、静動…演出の巧み】
好きなシーン③
そして、一番好きなのは
ラストシーン

一連の寂しさと愛おしさよ…
青い壁の前で、真正面で静止…
ウーバー来て、振り絞ったハグと別れ

ウーバーで去るヘソン

家へ向かう背景には
赤い家

窓、シャッター
閉まってるのに
開ける音が聞こえて

消灯された家の後に
点灯されたドア

階段で待つアーサー
泣き崩れるノラ

言語化したら、陳腐になってしまった…


【感想】
個人的にベスト10入りする
極上のラスト
沁みたー


久しぶりに
A24の好きな作品が増えた!!


最後に
自由の女神クルーズのネタも好き
男と女のこだわりや嫉妬の器
さらっと描かれてるけど
微妙な気持ちが解る…


印象的な台詞(雰囲気)
結婚とは、二つの苗を一つの鉢に入れて
お互い根を張る場所を求めてるもの…

詩的な言語化が素敵だなーと
ゾロ

ゾロ