このレビューはネタバレを含みます
手に入らなかった相手だからこそ特別だったのかもしれないけれど、一度も恋人として付き合ったことがなく、大人になってから会ったことがない相手にここまでの思い入れを持つって、もはや執着に近いなと思いながら鑑賞。アーサーがキャラクター造形としていかにも当て馬というか…ヘソンと対比するキャラクターとして描かれていたのも何とも不憫。ヘソンがいまいち何をしたいのかわからず、江國香織と辻仁成合作の小説&映画「冷静と情熱の間」でも、未練があってふんわりしているのは男性の方だったなぁと思い出した。
いわゆる【袖触り合うも他生の縁】という仏教の価値観って日本人にはなじみ深い話だけど、初めてこの価値観に触れる欧米人や、過去の自分と重ね合わせられる部分がある方にとっては新鮮だったり胸に沁み入るのだろうなと思う。
何かありそうでなかった2人が再会しても結局何も起こらずそれぞれの人生が続いていく…という点に私としては不満を抱いたけど、その淡いテイストこそが現代風で、劇的な展開よりももっと広くさまざまな人の共感を呼ぶからこそ評価されてるのかもしれない。私には合わかなかったけど普通にいい映画だと思うし、色々な意味で、今世界で評価されているのも納得できるラブストーリー。