2024年89本目
A24スタジオが送る韓国から移住した女の子だったナヨンと彼女を想い続けたヘソンが24年の時を経て再会する物語。
ナヨンを中心に描かれており、彼女の30数年の人生を観ているような感じだった。
序盤は可もなく不可もなくといった感じだったけれど、2人が再会してそこに流れる時間というのが久しぶりだからぎこちないけれど、これまで満たされなかった何かを埋めるような時間にも見えた。それがどこかくすぐったくも、これまでの会えなかった時間と今の彼女の生活を考えるとすごく胸が苦しくなった。
ナヨンが今人生をともにしているのはNYで出逢ったアーサーで、ヘソンとはともに歩まない人生だった。口で言うのは簡単だし、頭では理解できているだろうけど、やはりどこかにヘソンはいた。昔の初恋の相手に24年ぶりに会うというのは単純に会いたいからという気持ちもあるだろうけど、いろんな感情が溢れ出てしまうだろうけど、それを抑え込んでいるのか、ナヨンのなんとも言えない表情がずっと続くのと観てて辛かった。ヘソンとの時間は時が戻ったとはいかないけれど、お互いの現在地と過去の自分たちを照らすような時間だったのは観て取れる。最後別れた後に泣いてしまうシーンは感情が溢れてしまったのだろう。
ずっと一途に想っていたというわけではないけれど、初恋というのはずっと心に引っ掛かるものだよなと改めて感じた。自分も昔好きだった人に理由もなく会いたくなってしまった。
アーサーの立ち位置もなかなかしんどくて、ヘソンと3人で会うシーンもあるのだけれど、彼のこともナヨンから聴いていただけに、感情が揺さぶれる感じも読み取れた。一夜目の後のベッドでのナヨンとアーサーの会話、アーサーの寂しさや感情がもろに吐露されていて、それを聞くとまた胸がキュッと締め付けられた。それをわかった上での3人のシーンもなかなか。
映像がすごく綺麗で素敵で引き込まれた。ソウルの風景もNYの街並みもそうだけれど、カメラワークというか映像から魅せるあの美しさはこの作品をより引き立たせてくれた。それは音楽もそうであの優しい音楽たちが作品を包み込んでくれた。
心が締め付けられながらもグッと暖かくなる良い作品でした。