おにくちゃん

ミツバチと私のおにくちゃんのレビュー・感想・評価

ミツバチと私(2023年製作の映画)
4.2
主題が一見明確に見える事から敬遠する人もいるだろうが、私を含め周りと馴染めなかったり何かしら人生に疎外感を感じている人間には刺さる内容の映画だと思う。

私自身はヘテロ男性で性への疑いは無かったが、色が白くて細かった為見た目が女性っぽいと言われる事が多かった。親はそんな私の髪を長髪にしたがった。それが何となく心地が悪かった記憶がある。

子供の視点だけでなく大人のそれも描かれているのも良かった。
誰の考えが良くて、誰が悪いと糾弾するのではなく、それぞれのキャラクターに対してうっすら善と悪を感じさせるのも良かった。
世の中は聖人ばかりでは成立しないし中々そんな人はいない。
本当に心を開けるのがいわゆる家族では無くそれ以外の人であるというのもリアルだった。

主人公と叔母との印象的な水泳シーン、また主人公の名前を繰り返し呼ぶシーンでは涙が出た。

難があるとすると、ストーリー展開に緩急がある為、そのリズムに乗り切れず退屈に感じる部分が多かった事。
もちろん意図的だとは思うが。

良作だった。