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宮本武蔵 般若坂の決斗のpapandaのレビュー・感想・評価

宮本武蔵 般若坂の決斗(1962年製作の映画)
3.9
五部作の二作目、吉岡清十郎の登場と宝蔵院との関わり、お馴染みの人々のその後が描かれる。錦之助さんの武蔵は理知的な佇まいで、剣の力を磨くことで己の人間を高めようと誓うところから始まる。吉岡清十郎は名門の御曹司でどこか気弱で頼りない感じがする。薄暗く全く飾り気のない宿坊での武蔵と日観和尚との対話のシーン、ふたりの間の仏像がとても印象的だ。「弱くなれ」という言葉や般若坂での振る舞いは禅的というか哲学的というか、年を取って少しわかってきたような気がする。とにかく月形龍之介さんが渋い。それから城太郎がかわいい。一作目に登場したあの人物の子供ということだが、この先どうなるか。音楽が伊福部先生から小杉太一郎さんに変わったが、般若坂に向かうシーンの音楽が印象的だった。関ヶ原後のあぶれ浪人達が醸す不穏な空気とか、あの時代の京や奈良の風俗、衣装や佇まいなど、時代の描き方が面白い。
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