ソウルメイトのナタのネタバレレビュー・内容・結末

"ソウルメイト"という名に相応しい映画だった。ふたりの魂はひとつなんだと、私たちが感覚でわかる。映画の中で何度もふたりが混ざり合って、最後にはひとつになって、ああ確かに元々ひとつだったってことを思い出させてくれるような。私(鑑賞者)がなんでこのことを忘れていたんだろうと思えるくらいの自然さ。本当にひとりになった、という描き方でひとつの魂がふたりだというのを表しているのが素晴らしかった。別々の人生を同じ魂で辿っているから、考え方が違う上での辿る道の違いではなく、同じエネルギーを持ってただ違う道を辿っているように見えた。正反対は一体のうちに存在する属性でしかない感じ。同じエネルギーだから結局何度も会うことが出来ていたのだと思う。
脳みそから直接映像を抽出しているような混濁した順序での描き方が、直で私たちにもその感情を味合わせていたと思う。日々を生きているときって、こうやって脳みその中が混濁している。それは過去の記憶に関しても同じ。生きている感触をダイレクトに写していながら、フィクション作品としての美しさと完成度を持っていたというその完璧な塩梅で出来ていた。
誰かと混ざりあった記憶を思い出して、そんなもう会えなくなった人に会いたくなる作品。また、毎日を大切に生きたくもなる作品。ラスト、子供のソウンと手を繋いでいたり、ゴーストライター(？)としての未来も学芸員から示されていた。この先も日々はここまで観た本編のように愛おしく苦しく目まぐるしく消化されていく、ということを強く感じられたのが本当に素晴らしかったと思う。過去を含め、日々を美しく思わせてくれる作品。もっと早く観に行けばよかった。