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マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間のnobsangのレビュー・感想・評価

3.9
地上波では表現しきれないものを、劇場版として興味のある人だけに向けてお金をとって見せる。というのは、映画が担うひとつの役割であるとは思います。
それこそ100年前は、娯楽ではなく、報道のために映画があった。 いま、少し形を変えて、こうやって報道映画があるという事そのものを体感するためにも、この映画はお金を払ってみる価値があるものだとは思います。

しかし、レビューを書くとなると。2時間の映像作品を私が楽しめたかどうか、という話なんですよね。

厳しい環境の中で、限られたバッテリーと限られたタイミングで、何をどれだけ撮れるか、に思いを馳せざるを得ませんでした。また、戦時下において素材を「放送局に送る」ことそのものに緊張感があることがビンビン伝わってくるし、その報道そのものを「自分は見れない」という現実、普通に暮らしてたら考えられない。それをロシア側はフェイクニュースにするためのプロパガンダする、というのも、なかなかの見どころですね。

死体の無惨さや嘆きの声などは正直あんま気になりませんでした、「想像をはるかに超えた非日常」みたいな気持ちが強く残りました。

悪いところを言えば、BGMが要らないですね。煽るようなBGMのせいで、それこそフェイクニュースに見える。勿体無いですね。
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