amin

マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間のaminのレビュー・感想・評価

3.6
森達也監督も言ってるけど、ドキュメンタリー映画だからといって、すべて本当のことを伝えているのとは違う。監督の主観や思いがなければ、構図、カット、編集は出来ない。出来る限り主観を殺して、ありのままに伝えようとする思いも立派な主観・意図である。だからこそ、もっとこの戦争犯罪を悪しきものとして、煽動的に見せても良い気がした。何を公にしてもフェイクだと言い張るような連中だし。ただ、だからと言って映像そのものを加工するほど、誇張・煽動するような、それこそプロパガンダにして欲しい訳ではないことを念の為、書き添えておきます。バランスが難しい。翻って、では、ロシア全部が憎むべきものかというと、罪の無い一般市民もいるし、ロシア文学、ロシア料理、素晴らしいものはたくさんある。不買運動に走って困るのは、美味しいロシア料理を作ってくれる優しいお店の店主であり、プーチンは困らないだろう。問題なのは何も出来ない僕自身だ。空爆される都市をマリウポリではなく、自分の住む町、病院で亡くなっていく方々を自分の大切な人だとなるべく思いながら鑑賞したが、どうしても画面の中はいつまでもロシアのままだし、自分のこととして肉薄しきれなかった。つくづく鈍感で、危機感のない奴だなと自分に対して思った。出来ることはこうしてウクライナ侵攻について何かを書いて、一日も早く戦争が終わることに協力し、今起きていることに慣れないことだけである。
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