Masato

ブギーマンのMasatoのレビュー・感想・評価

ブギーマン(2023年製作の映画)
3.7

哀しみに打ち勝たなければ、この悪夢は終わらない。

スティーヴン・キングの短編小説を基に映画化したホラー。ライトオフに似た暗がりに恐怖を覚える原始的な心理を利用したホラー演出、少し弱いが明瞭なブギーマンのメタファー、それによる良いドラマ。全体的に良いホラー映画だと思う。

誰もが絶対に体験したことのある、夜中の半開きのドアの先に広がる暗闇のあの怖さ。あの怖さを再現しているのが良かった。非常に見せ方が上手く、怖いけど不思議と誘われていく感覚が見事に表現されていた。

モダンホラーらしく、ブギーマンが母親を亡くしたことによる悲観や恐怖のメタファーになっているところは見事。ブギーマンと対峙することが家族が母親の死を乗り越えようとすることと重なり合う。伏線もバッチリ決まっていて良かった。この物語こそホラー映画の良いところ。自分自身に立ち向かう勇気をくれる。ただ、物理で対処じゃないほうがドラマとして良かったと思う。
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