ガイ・リッチーらしくないドシリアスな戦争映画。持ち味の軽妙な会話とトリッキーな構成は鳴りを潜めている（とはいえ、端々にリッチー味のあるシーンはある）。代わりに、終始「いつ撃たれるか」という緊張感の漂う映画になっている。映画全体も、非常に端正に出来ていると思う。
序盤はジョン達アメリカ軍の捜査がメインに描かれている。そのため、見ている間は戦争プロパガンダ映画のように見える。また、後半の救出劇も、PMCをカッコよく描きすぎだろうと思え、「大丈夫かこれ」と心配になってくる。しかし、最後のテロップにより、かなり直球のアメリカの植民地政策の批判がなされ、一安心できる。
本作はアメリカ兵ジョンとアフガン人の通訳アーメッドの友情の物語だ。２人の関係性が丁寧に描かれていく。実話ではないものの、この点も美談っぽく見える。しかし、やはり最後のテロップによって、寧ろガイ・リッチーは「美談」を描くことで「お前らは本当はこれをやらなければならなかったんだぞ」と言っているように捉えられた、というのは深読みしすぎか？
