酔狂侍

テトリスの酔狂侍のレビュー・感想・評価

テトリス(2023年製作の映画)
4.0
AppleTvが実話をもとに制作した、あの名作ゲーム「テトリス」が世界に流通するまでを描いた映画。
今や誰でも知ってる落ちゲーの元祖(笑)テトリスが生まれたのは、旧ソビエト連邦時代のロシア。
ゲーム産業そのものが無い国で、誰が作ったんだ、権利交渉は誰とすれば?
みたいなところから、映画が始まるわけだけど。
当時の共産主義国は、作ったのが個人でも権利は国が管理してて、交渉相手として厄介すぎる上に、テトリスの販売権を巡り、西側企業で争奪戦が勃発。
誰が本当に何の権利を持っているのかわからないみたいな、騙し合いと駆け引き。
そこに崩壊直前のソビエトで、外貨を獲得したい政治家の思惑やKGBも暗躍してきて、果たしてテトリスの権利は誰の手に!というお話を、コメディタッチのサスペンス劇として成立させている。
重要な役回りとして、ご存じ、日本のNintendoも登場したりして、2時間近くあるのに滅法面白かった。
そもそも、権利の価値も分かってないし、ゲームの市場もない、ソビエトの役人相手に、西側のゲームメーカーたちは、勝手に模倣したゲームを作って売っちゃおうではなく、全員あくまで正規の権利取得を目指して悪戦苦闘するあたり、古き良き時代だし、微笑ましい。(笑)
大袈裟に面白くしてるところはもちろんあるだろうけど、ベースになってる事実が、もともと嘘みたいなホントの話だから、ドラマチックになるのは当然か!
しかし、このテーマに目をつけたAppleTvもすごい。
ゲーム開発の裏側ではなく、ゲームビジネスの裏側に光を当ててエンタテインメントにしているという意味においても、これまで見たことないようなユニークな作品だった。
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