オクラホマ州のセネカ・カユーガ族居留地に暮らすネイティブ・アメリカン女性で、妹が失踪してからというもの残された姪ロキの面倒を見るジャックス。一向に足取りが掴めぬままかつて居留地を出た白人の義弟フランクに親権を奪われそうになった彼女が、近々行われるパウワウに備えてロキと妹を探す旅に出る様を描いたドラマ映画です。
ミズーリ育ちの映画作家でドキュメンタリで評価を高めたエリカ・トリンブレイが、有力な脚本をリストアップする『ブラックリスト』入りしていた自らの脚本を映画化した作品で、昨年には『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』を公開したAppleTVで配信されると彼女のルーツであるセネカ・カユーガを取り上げたことが評価されました。
アメリカにおけるネイティブアメリカンに焦点を当てる物語を実直に綴っていて、監督の経験を活かしてのリアリティに拘った展開で観客にズドンと重しを与えます。やや要素が散乱気味で主題にフォーカスし切れぬところはありますが、「黒人」ともまた異なるかつてあのリンカーンすら迫害した彼女たちのリアルを捉えようとする一作です。