千年女優

パージの千年女優のレビュー・感想・評価

パージ(2013年製作の映画)
3.5
経済崩壊後に誕生した新政府によって年に一日だけあらゆる犯罪を許すパージ制が開始されてから劇的な経済回復を遂げたアメリカ。厳重な防犯システムを売って財を成し、LAのゲーテッドコミュニティでその日を迎えたサンディン一家が、娘が彼氏を招き入れ、息子が貧困男性を匿ったことで危険な状況に晒される様を描くスリラー映画です。

NY生れでパリで育ったことで母国を俯瞰する視線を得たジェームズ・デモナコが飲酒運転に巻き込まれた際の妻の怒りの言葉に着想を得て制作した2013年公開作品で、イーサン・ホークが主人公を演じた物語の評価は賛否両論でしたが、分かり易い設定が受けて低予算ながら一億ドル近い興収を記録してシリーズ化もされる代表作になりました。

発想自体は斬新でも展開されるのはよくある立て籠もりスリラーで、この前提なら攻防を白熱させれそうなところを詰め甘く、ジャンルの凡庸なフォロワーに留まります。ディストピアとしての志も低いですが、図らずも正義を暴走させる集団の描写で全体主義の悪しき面を垣間見せ、おためごかしではあってもそれへの抵抗を見せる一作です。
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