千年女優

パージ:アナーキーの千年女優のレビュー・感想・評価

パージ:アナーキー(2014年製作の映画)
3.0
年に一日あらゆる犯罪が許されるパージ制が普及して平時の治安安定を実現する一方、貧困層が標的になることから人口調節だと批判される米国。今年も訪れたその日、息子の復讐を誓う警察官のレオや姉妹と病を患う父から成るサンチェス一家、開始時刻前に車の故障の憂き目に遭うショーンとリズ夫妻が慄く様を描くディストピア映画です。

ジェームズ・デモナコが妻の何気ない一言から得たインスピレーションを基に制作して低予算ながら大ヒットしてシリーズ化を勝ち取った『パージ』の続編となる2014年公開の作品で、実質的には立て籠もりスリラーだった前作から群像劇としてスケールアップし、批評は相変わらず賛否両論ながら本作もヒットして一億ドルを売り上げました。

もともとスリラーの材料だったディストピアのテーマ性に目を向けてそれらしいお題目を掲げますが、前作か一年の制作期間では十分に掘り下げられず他の設定でも可能な凡庸なパニックスリラーに終止します。設定とスリラーとの相性の悪さを思わせますが、フランク・グリロの存在感でヒーロー誕生譚としての一縷の望みを見せる一作です。
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