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夜明けのすべてのエスのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.0
原作は『そして、バトンは渡された』の瀬尾まいこが、自身のパニック障害の経験を基に描いた同名小説。映画『ケイコ 目を澄ませて』などを手がけた三宅唱監督がメガホンをとった作品


パニック障害と女性特有のPMS(月経前症候群)、なかなか周囲からは理解されにくい症状をテーマにしながらも、重すぎず軽すぎないのが良かった

PMS(月経前症候群)の影響で、月に一度激しいイライラを感じてしまう美紗とパニック障害を患っている孝俊

互いに"理解されにくい"という共通の苦しみを抱える2人が、恋愛に発展するわけでもなく同志という関係のまま寄り添う姿は微笑ましくもあり、寄り添ってくれる人の存在がどれだけ支えになるのかを映し出す

一方で、そんな2人が関わる人たちの中には悲しみを抱えている人もいたりと、"人は見かけによらない"ということを改めて気付かされるのだ

悪い人が1人もいないし、クスッとするシーンもある。光石研さんのヘルメット姿は声出そうになった。

パニック障害の経験がある瀬尾さんの原作とあって、松村北斗演じる孝俊の精神状態も含めて繊細に描かれ、PMSの主人公美紗を演じた上白石萌音を通して男性には分からない、デリケートな部分が分かりやすく描かれている良作。

月経のある女性の約70%〜80%の人が、何らかの症状があると言われている。私も若い頃は、PMSの症状の眩暈と吐き気が酷くて、職場で倒れたこともあったので主人公の気持ちが痛いほど伝わってきた。

PMSやパニック障害だけではなく、何事も理解ある世の中になって欲しいし、自分もそうでありたいと改めて思った作品でした。

エンドロール中も映像が終わらないのも良かったな。
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