どするん

夜明けのすべてのどするんのネタバレレビュー・内容・結末

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます


原作未読
でも、原作にあったであろう空気感みたいなものを間接的に感じられた映画だった。穏やかで暖かい感じ。


PMSとパニック障害、似てるところのある全然違う病。
パニック障害は芸能人で発症する人も多くその名前からも病気だと認識されやすい一方、PMSは特に男性の認知率はたぶん高くないだろうし、やっぱり女性特有のものであるからして男性の自分も理解の及ばないところにある。

当人に成り代わることはできないけど、
お互い理解に努めて寄り添える姿がたくさんあった。

映画を見て病気への理解や認知が促されて現実社会が映画の中みたいに少しずつ変わっていくといいなと思えた。

この映画のいいところは発生する障がいに対して差別的な言動や無理解な態度をとる人がほぼいないこと。みんなできる範囲で寄り添おうとしてる。PMSの症状が出ても頭ごなしに怒るわけでもないし、パニック障害とわかってても再雇用に向けて動いてくれる。

もちろん描かれていないところで無意識の攻撃や無遠慮な物言いもあると思うし、現実はその問題の方が多いと思う。でもそこに焦点を当てず、悪者がいるわけではない、本人もコントロールできないというところにピントがあっていたのが良かった。


身近にも同じような症状を持つ人がいるが、本人もどうにもできないからこそ症状が落ち着いた時に罪悪感みたいなものを持ってしまうみたいで、加害者も被害者も存在しない自然現象だと理解したい。


夜明けに朝を迎えることだけがポジティブな印象を与えるが、夜に光る星々もまた宇宙という広大な世界の存在に気づかせてくれる。そんな視点を持てるは素敵だった。



単純作業で馴れ合いに感じていた仕事も少しずつ面白みや誇りを感じて山添が愛着を持っていく心の機微は素敵だった。

バスや電車に乗れなくても自転車で物理的に行動範囲が広がり、出来ることが増えていくのはこれからの希望でもあった。


ピルが服用できず母の介護をする藤沢のこれこらは少し大変そうだけど、山添との出会いや栗田科学での出来事が好転する未来に繋がることを祈る。

あんだけお人好しの藤沢さんならきっと大丈夫。



PMSやパニック障害になったことで良いことなんか無いと本人らは言っていたが新しい出会いと新しい環境と新しい考え方をもつきっかけにはなったのかなと思う。


とにかく栗田科学がいい会社すぎた。
俺も昼休みとかにキャッチボールしたい。
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