このレビューはネタバレを含みます
まあ、わからん、
特にラストはわからん、わかる人いない
でも、そういう問いを投げかけるのがこの作品の役割で
どうゆうこと?ってなるのは間違ってないと思う
区長が説明会の時に言っていた上流で起こったことが下流に影響するという言葉と通り、映画も冒頭から終盤にかけて、小さな変化が大きなうねりとなってラストに影響を及ぼした。タバコの煙が霧となって画面を覆うように。
結局のところ、観てる観客も"部外者"なんだと感じた。
急激な変化を嫌う価値観は頑固で傲慢にすら見えるけど、それは観てるこちらもお邪魔してるからで、巧の薪割りに待たされるし、急な攻撃になんなんだと面食らう。
最初は自然など気にも留めない補助金目当ての嫌な奴らだと思ってた2人だったが、より悪質なコンサルと社長の登場、微笑ましい車中の会話で2人の人となりがわかってくる。
巧本人も言っていたように巧たちも開拓してきたわけで、鹿の行き場を奪ってきたはず。自然を破壊する人間という存在は変わらず、違うのはバランス。
悪は存在しないと思わされる。
それなのに…
劇中では慎ましい生活をする現地民と利益優先の東京もんとの対比が悪はどちらなのかと問いかけられていたはずなのに、最後の巧の行いが最も"悪"であり、理解が及ばない行為に違いなかった。
きっと良い人なんだろうと勝手に思い込んでいた巧も思い返せば私は何も知らなかった。花の母は?収入は?なぜ長野に?
巧が善人であるなんて誰も言ってなかった。
善もまたなかった。
最後、どうなったのかはわからないけど、
結局のところ、巧も手負いの鹿だったのかな
娘が怪我をした中で攻撃的になり、これまで見せなかった息を切らした切迫感が画面に満ちて幕を閉じる。
この後もそれぞれの人生が続いていくだろうに
それを観客は知る術もない。
映画序盤の日常は静かで変化もなく、淡々と過ぎる。
説明会のシーンになってようやく人の感情がでてきて、少しずつ物語を紐解いていたはずなのに最後は突き放される。
大衆映画が好きで、明確な答えやメッセージを求める自分にとっては消化不良であり、難解であり、困惑であった。
カメラワークの斬新さに物語以上の価値を置けないし、
問いかけるにしても理解力を試されているようだし、
パンフレットで補足がされるようなのも好きじゃない。
それでも…
なんだかとっても惹き込まれてしまうのも事実
監督の他作品よりはわかりやすく見やすかったのも事実
なんで東京でさえ上映館が2つしかないんだという思いも本心としてある。
もう少し時間をかけて濱口監督作品とは向き合っていきたい。