フィルムに焼き付けられた光源はどうしてこんなにもあたたかいのか。何度も映る夜景がプラネタリウムみたいだ。これは絶対にフィルムで撮られるべき映画だった、そしてそれができただけでもうほぼ成功してると言っていいのではないか。どうかフィルム撮影という灯を絶やさないでくれ…と願わずにはいられない。
原作未読だが「こんな展開になったら嫌だな」って想像していたようなことにはもちろんならない。天才・三宅唱だもの。でもなぜかこの人には「天才」っていう言葉はそぐわない感じがして「職人」といったほうがいいのかもしれないけど。でもいわゆる職業監督って感じでもないのがすごい。
Hi’Specの音楽もブライアン・イーノのMusic for Airportみたいでよかった。そして主演2人の声がまたいい。
ラストショットはなんでもない日常の一コマなのに素晴らしい余韻を残す。最後のあれは偶然なのか脚本にあったのか。まあそれはどっちでもいいけど、とにかく良いんだ。