べべ

夜明けのすべてのべべのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.5
登場人物たちの内面や成長を深く描写した感動的な人間ドラマである。物語は、藤沢と山添という異なる背景を持つ二人の主人公を中心に展開する。

特に感動的だったのは、プラネタリウムでの栗田社長の亡き弟の言葉の朗読の場面である。夜明けが暗いという言葉が象徴するように、良くも悪くも社会や人生は皆に平等に訪れるものであり、主人公たちが暗闇の中で前向きに成長していくプロセスと未来への光を感じた。さらに、山添の元上司が見せた親心のような涙や、栗田社長が涙を隠す場面も心に深く響いた。彼らの涙は、主人公たちの苦難を乗り越えた成長を示し、周囲の人々の心を治療する力があった。

ストーリーの展開も予測不能であり、特に山添の境遇や恋人との関係性の変化が印象的だった。また、キャラクターの性格が物語に適切に反映され、藤沢の真面目さとPMSの影響のギャップが明確に描かれていた。登場人物たちの心情や成長も細かく描写され、彼らの本音が物語に深みを与えていた。

演技も素晴らしく、特に藤沢と山添の演技は感情の起伏や病気の影響をリアルに表現していた。助演者たちも物語をサポートし、会社の社長を演じた栗田社長の成長と変化も見どころの一つだった。

映画全体にはユーモアやコメディ要素も取り入れられており、物語のテーマとのバランスが良く取られていた。また、社会的なギャップや個性の受け入れに関するテーマが掘り下げられ、他の作品とは異なる視点やアイデアが提供されていた。
美術や音響効果も物語の雰囲気を演出し、視聴者を物語に没入させる役割を果たしていた。

『夜明けのすべて』は、日常の描写に生活感やリアルさがあり、視聴者が物語に没入しやすかった。この映画は、観る者に深い感動と共に、人生における新たな知恵を与えてくれる作品であると感じた。
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