ShinichiAndo

夜明けのすべてのShinichiAndoのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
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それそれがそれぞれに生きづらさを抱えながらも、誰かのために何かしたいと思うこと。そんな“思いやり”や“親切”こそ、社会をほんの少し良くする第一歩であり、また唯一の手段なのかもしれない。愛でも友情でもなく、たまたま隣に座っていた同僚という関係性ならではの距離感がとても良かった。

そして、そんな二人を見ていると、カート・ヴォネガットの“愛は負けても、親切は勝つ”の言葉を思い出さずにはいられなかった。「パディントン2」のように、親切の連鎖は自然と広がっていくんです。お菓子、手袋、お守り、自転車、お節料理など、“手渡す”こと素晴らしさ。

また、松村北斗さんが髪を切られているときの「うへっ」って感じの笑い方や、上白石萌音さんがポテトチップスの残りを流し込むように食べる姿など、チャーミングな瞬間が、光や空気とともにフィルムに刻み込まれている感じがしたのも素敵だった。ふとしたときに、自分のことのように、ちょっと思い出しそう。
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