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夜明けのすべてのksのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.0
映画は映画として、それはそれで腑に落ちる。
のだけれど。
原作を読んでから観に行った、原作を読んだから観に行った身としては、微妙〜に複雑な気分。
基本的、根底的に流れるテーマは揺るぎないから違う話ではないし、まとまりもある。
けれど、設定やエピソードの相違が…「ちょ待てよ」とキムタクになりかけた。
原作を知らなければ、それはそれでまとまっているし良い話だし、十分満足なのだけれど、よりによって入れて欲しかったエピソードがいくつかカットされていて。
(それは主演の上白石萌音も言っていると何かの記事で見た。そのカットされた好きなエピソードが私も同じだったことがなんだか嬉しいのだけれど)

特に映画の後半はもう原作の影がない。
えぇ、藤沢さん、そうなったちゃうの?というか、あの話無いの?山添くんが自転車に乗るようになったいい話なのに…
とか、微妙に些細なささやかなエピソードや大きな核となるお守りの話とか。
あれやこれや。

それでも、映画は映画として物凄く納得もできるしラストはラストで納得もいくし、ほんのり素敵な作品だなぁと思う。

何故なのだろうか?

と考えてみたのだけれど、私は原作を読んでいるからなのだ。原作を読んで知っているから、登場人物の人々の…藤沢さんや山添くんの心情の変化や動きがわかるから、映画版のストーリーでも納得が行くのだ。
観終わった瞬間に一緒に観た娘に
「映画は映画で映画としてよかったけれど、全然違う。原作を読んで!」
と無意識に言っていたのだが、それはそういうことなのだなぁと自分の言葉に後から気づく😅
そう、これは原作とセットでひとつの作品なのではないかな、と思う。

映画は映画で本当に素敵な作品なのだけれど、原作の良さ、素敵さも知ってほしいなぁと、作者でも何でもないのに思ってしまった。
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