ふみぃぃeeeee

夜明けのすべてのふみぃぃeeeeeのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
5.0

人に優しく、自分にも優しく。
この映画が構築する世界が優しくて何度か泣いてしまった。
三宅唱作品は『ケイコ 目を澄ませて』を鑑賞していたのみだが、監督らしさなのか静謐な画面と、その中でもそれぞれのシーンに絶対的な意図を組み込んでいるのは確実だなという印象で、スマートな映画運び。
自分としては作品に充満する倫理観が本当に素晴らしかった…
今作で特筆すべきは男女の触れ合いの物語ではあるものの、安易に恋愛感情へ結びつけるということを一切していない点。
これは人生において最も多く経験する関係性であるなんてことは当然ながら、本来はこういった関係性こそ一番大事にしていくことが人間の幸福に繋がるのではという視座すらも見えてくる。
それに、物事を見て、考えるときに正しい知識は大変重要なのだと今作を観ていると強く感じる。
かなり意図的に挟まれていた印象の本棚。
SNSが普及しきった中、インターネットに転がる情報に限界のようなものを感じることも増えてきた。
PMSについて知ろうとしていた山添に担当医が2、3冊の専門書を渡すシーンがあるがこれも良い。
どうにか一日一日を生きていく中でなんとなくで捨て去ってきてしまった関係性がこれまでにいくつもあったことを思い出すと、ポジティブに前だけを見続けようとした気持ちが途端に落ちこんでしまう時もあるが、そんな時にもふと周囲が気遣ってくれているのだと感じる瞬間も多々あって、そういう良い環境に恵まれていること自体に感謝を忘れてはいけないと思った。

[2024年 40本目]
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