ふみぃぃeeeee

関心領域のふみぃぃeeeeeのネタバレレビュー・内容・結末

関心領域(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます


こういう作品を鑑賞する度に本当に映画というものは社会に接続していくための機会を与えてくれていると感じる。
画面いっぱいに映し出される物質豊かな幸せな日々の端っこに見え隠れする不穏な空気に怖さを感じつつも、それらを時折切り離して客観的に見つめる自分の事も非常にグロテスクだと思った。
物語の外へ押しやられた人々の姿は見せない、というよりヘス家の人々が一切見ようとしなかった描写に関して当時のナチスの悪行を断罪するためだけなら敢えてこういう映画の構成にはしないだろうし、彼らと等しく、今の自分たちも現在進行形でガザ地区で行われるジェノサイドをまったく見ようとしていないことを痛感させられる。(これはアカデミー授賞式でのジョナサン・グレイザーのスピーチでも触れられている。これも見て欲しい)
賛否は分かれ、その中でも否定派の一体何を表現したい映画なのかわからなかったという感想を度々目にし、それは国際問題に接続しにくい今の日本の状況ならではかもしれないという気持ちにもなったが、自分自身も含めて、関心領域を広げていくことを止めてはいけないと強く思った。
唯一の良心とも言える少女の姿は低体温な映像で…こちらの方に色をつけて自分たちは映画を観ないといけない。

[2024年 104本目]
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