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夜明けのすべてのENDOのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.0
冒頭まだ2人が親しくない時点で離れた2つの机が手前と奥に存在し、各々がカメラを見つめながら仕事をこなしている。2つの視線が観客に向けられることで、こちらは困惑してしまう。案の定どちらの表情も見定まらぬまま、松村が開封した炭酸の漏れ出す音をきっかけに萌音はPMSの症状を露わにする。2人は見つめ合うというより寄り添って同じ方向を向いている。だからこそ恋愛にはならないし、いつだって別れられる。自死によって家族を亡くした遺族のグループセラピー兼交流会は優しいが、抑圧の下に亡くなった社会は確かに存在する。とてつもない優しさに溢れた映画だが、闇があるから光を感じるという萌音のナレーションの通り社会の不寛容さはあらかじめこの作品に埋め込まれているのである。
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