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夜明けのすべてのポップアイのネタバレレビュー・内容・結末

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

ケイコの時にも感じた三宅監督の何かを特別視したり誇張したりせずフラットに「そこにあるという事実」を描く姿勢。それが物語だけでなく音や映像へのこだわり、オープニングからエンドロールのギリギリまで詰まっていた。

「優しい世界、優しい登場人物たち」というよりは「優しくない人生や世界だとわかっているからこそ優しくあろうとする人たち」だと思う。

何か症状が劇的に良くなるわけでも、2人の関係性が大きく変わるわけでもない。自分の持つ苦しみと付き合いながら憐憫を垂れず日々を生きる、ということが映画から離れ日常に戻った時に自分にとって温かい小さな光になってくれる。

山添くんがジャケットを羽織ったシーンはグッときたし、二人の距離感が縮まっていく過程で変に恋愛を用いてなくて安心した。

自分もつい先日、気持ちがいっぱいいっぱいになってしまい日中からどうしようもなく涙が止まらなかったことがあったので自分を見ているようで深く感じるものがあり、その時の自分を優しく肯定してくれたような気がした。

「この宇宙で変わらないものは無い」ということはささやかな絶望であり希望でもあり、夜明け前という特別な時間に感じるものに似ている。
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