紗良

夜明けのすべての紗良のネタバレレビュー・内容・結末

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

しばらくレビューは書いていませんでしたがこの映画の感想が書きたくて久しぶりに。


恋愛映画や誰かが死んで泣けるような話になっている映画は正直もういいやと思っていた所でこの作品と出会った。いい作品を観たと思う。

以下感想
・山添くんがパニック障害の発作を起こすシーンは見てるだけでも苦しくなったし、藤沢さんがPMSでイライラを抑えられなくなるシーンはスクリーン越しなのに何とかしてあげたいと思わされた。私が気づいてないだけで、この世の中に山添くんや藤沢さんはきっと沢山いる
・栗田科学で働いている誰もが優しくて、自分にとっては負い目に感じてしまうような事でも優しく包み込んでくれたり何気なくくれる一言に凄く温もりが籠っていて、こんな会社が現実にあればって思ったし私が皆さんと同年代になった時にこんな人でありたい
・山添くんが栗田科学との心の距離を表すように頑なに袖を通さなかった制服を初めて見に着けたとき、会社に差し入れを買って帰ってきたとき、元職場の先輩に嬉しそうに今の仕事について話すとき、どの瞬間も山添くんという人物が愛しくて泣きそうになった
・何を食べても美味しくない何をしても心が動かないそんな何事にも興味を持てず無気力でただ生きているだけだった山添くんが藤沢さんに髪を切られてお腹が痛くなるまで大笑いして、肉まんを「美味しい」と言い、「じゃあまた明日」と帰っていく。そんな少しづつの変化が堪らなく幸せに感じた
・藤沢さんが山添くんの髪を切るシーンは予告でも使われていたしインタビューでも2人が話によく出していたけど本当に好きなシーンだったしほっこりした
・栗田社長と山添くんのヘルメットのシーン凄く好きでちょっと笑ってしまったしほっこりした
・私が何も無かったつまらなかったと思った今日が、別の誰かにとっては無事に何事もなく終えられた今日なんだと気づいた
・山添くん初登場シーンからエンドロールまで脚の長さと等身のスタイルの良さが際立ってるスタイル良すぎ

・少し不思議に思っていた山添くんが元上司とzoomをしながらエアロバイク漕いでいるシーン、パンフレットを読んで山添くんのその行動の意味に泣きそうになったし抱きしめたくなった。

映画が凄く心に来て原作も読み始めたけど、映画で見た景色がより広く見える感じ。映画で見た大好きな世界をより詳細に教えて貰えるようなこの感覚。
素敵な映画に出会えたあとに原作を読んで感じるこの感覚がやっぱりとてつもなく好き。


基本的にドラマや映画を見ていて、女性のキャラはその行動の意図や考えてることやその人の思考まで描かれずとも分かってしまい共感しずらい所があるから、男性キャラの方に気持ちを込めて見てしまうけどこの作品は山添くんも藤沢さんもどちらも大好きなキャラで一緒に同じ世界を生きたいと思える人物だった。

大きな山場があったり、劇的な出来事が起こって酷く感動を誘うような演出があったり、そんな事は一切ないこの作品が他の作品よりもずっと心に残るのは素敵な原作があって、それを多くの人に感じたまま伝えようとしてくれた制作部や役者陣、スタッフさんがいてこそだと思う。
出会えて良かった。


「人は明け方に希望を感じる」
「早く夜が開けて欲しいと思う人もいれば、ずっと夜が開けないでと願う人もいる」
「暗い夜があるから外側にある綺麗な星に気づく事が出来た」
紗良

紗良