イロカワ

夜明けのすべてのイロカワのネタバレレビュー・内容・結末

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

 PMS vs パニック障害 本当に苦しいのはどっちだ!みたいな映画になるかと思ったが、なるわけないか。
 藤沢さんの家に山添が荷物届けに行って、何か起こるかと思ったら軽やかに自転車で去っていくのが良かった。ドラマだけが人を感動させるわけじゃない。パニック障害の人が自転車で遠い所まで行った事の方が大きな感動がある。それを映画で見せるの凄いなと思う。
 山添が自転車でちょっと遠くに行くだけでこんなに成長した事は別に変な事じゃない。その人にとって大切な瞬間は違うのだから、藤沢さんとの関係で何かが起きる必要なんてない。自転車こそ人を救う。車ほど息苦しくなく、バイクほど危なくなく、歩きほど遅くもない。ちょうどいいスピードで程々の自由を与えてくれる。
 三宅唱の映画に出てくる程々の自由という概念が好きだなと思った。優しさが五臓六腑に染み渡るいい映画体験だった。
イロカワ

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