といけ

夜明けのすべてのといけのネタバレレビュー・内容・結末

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

PMSとパニック障害に悩む男女が、互いに分かり合いそれぞれの道を見つけてゆく。

「何者」かにならなければ、集団の中の1人にならなければ、目立ちすぎてしまう世の中。
そんな世の中は、2人にとってまさに真夜中で真っ暗。
優しく接して分かろうとしてくれる人はいるけれど、あくまで出口の見えない暗闇で手を引っ張ってくれているだけのように感じる。
自分の体のことなのに、自分でできることが少なすぎるというセリフが印象に残る。

人は星のように一つ一つで輝きを放っている。
確かにそれぞれの星によって大きさも輝きも違って一つとして同じ星はないのだけど、どれも間違いなく星であって、1人の人間。
別々の場所で別々の輝きの星が線で繋がってできるのが、星座であって社会。
それぞれの星が大きさや輝き方を比べて、傷ついたり息苦しさを感じる世の中ではあってはならない。

「変わらないものなんてないのかもしれません」
そんなセリフが出てくる。
実際、藤沢さんも自ら地元に戻り母の介護をするために転職し、山添くんは元の会社ではなく栗田科学に残ることを決めた。
2人は前でも後ろでもないそれぞれの方角へと進み始める。

社会へ必死に馴染み、何者かにならなければ良くも悪くも目立ってしまうそんな世の中を生きる全ての人に、今ある自分を大切に自分だけの道を信じて進んでいい、そんなメッセージを感じる傑作。
といけ

といけ