ちょび

夜明けのすべてのちょびのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
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生きることに対して暖かな光を照らしてくれるような映画だった。二人の抱える生きにくさに肩入れはしない、作為的なドラマ性を感じさせない作りが好き。自分が生きる現実と地続きのどこかにある空間を切り取ったような自然な映像で、ケイコと共通する心地よさだったんだけど三宅監督の特色なのかな。ビルや線路などの無機質な構造物を含んだ街の風景を映すカットが随所に挟まれていて、この映画と現実とを繋いでドライな視点を保つ要素になっていると思う。エンドロールの風景は何気ないけど尊い日常が流れていて素敵なシーンだと思った。光の柔らかな質感がとても心地よい。

二人の関係性が絶妙で、強く結ばれた関係でなくても助け合えるし、互いに助け合うことができるから不完全であってもていいんだ、という少し優しい気持ちになれる。あと、終盤しか気づかなかったけど、小津安二郎的な構図がいくつかあって(山添君の部屋の中を映すカットとか)、確かに両監督が撮るモチーフは近いものがあるようにも感じた。
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