thorn

夜明けのすべてのthornのネタバレレビュー・内容・結末

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

彼らの職場には生理休暇はないのか
どんなブラックな職場でもふつう、ありますよね..脚本?原作?どっちなのか分かりませんけど、もしかして会社員として働いたことない?(もうここで引っかかってしまう)管理者が日本語通じないレベルのヤバいやつに見えなかったし、とくにメインのなんたら化学は(なんの会社なのか、最後まで実態がわからん)交渉すれば生理休暇くらい貰えそうでしたよね。

俺がおかしいのか...この映画、非常に退屈だった。この映画がなぜここまで絶賛されるのか理解できない。

理屈っぽい俺は、なぜ、上白石萌音が彼女のいる男の家に1人で平気で上がり込むのか理解できなかった。彼女のセクシャリティがあかされてないから、実はレズビアンであったとしても、(事実、彼らはくっつかないわけだし)誤解を与えるとか、配慮しそうな古風な女なのに、そこは気遣わないのね、というのを、人物の無神経さという人物造詣とポジティブに捉えることもできそうだが、なんだか監督が真面目そうな感じ、これは天然なんでしょうか?男女の友情云々の話ではなく、映画演出の話として変なんですよね。だってこの2人そんなに仲良かった?彼女はADHDなの?振る舞いと行動に一貫性がなさすぎる。いきなり同僚の髪を切りに行く?その訳のわからない女を部屋に入れる?ん?一見真面目そうな印象の女性なのに、あまりにも行動が突飛すぎる。

お詫びにやたらと手土産持ってくるのも、演出がわざとらしくてしつこい。
他人に気をつかう女という演出なら、男の部屋にあがる人物像となんだか矛盾するんだよね(俺だけ?)だって彼の彼女さんがどう思うかとか考えません?現実にこんな人いたら恐ろしいよ。周囲に混乱を齎して人間関係がぐちゃぐちゃになるよ。でも、そんな雰囲気は全くない。漂白されてる感じ。悪い意味で、本当に嘘くさい。

お正月に初詣に行って赤い毛糸の手袋して同僚の男の家に1人でたくさん買ったお守りをもっていく。メンヘラ?でも、そういう描写はない。やたらとお土産を買う女ってのも、なんか怖いよね。おっとりしてる見た目なので余計に天然悪女感がすごい。いや、そういう女の子は大好きですよ。でもねえ、なんか意図したものじゃなさそうなんですよねこれ。ドロドロした展開に行くわけでもなし。人物の多面性といえば聞こえはいいが、病気のこと意外にこの意味があるのかないのか不明な複雑怪奇な人物像を持ってくる理由は何なのだ。まるで斉藤由貴さんのような(斉藤由貴は大好きです)。ただの不思議ちゃん、変な子かにしか見えないんですね。彼女がどんな人なのか最後まで理解できなかった。魅力を理解できない。顔が良いだけというのも、なんか俳優に失礼な気がしないか?誰か俺に説明してくれ。

おれは真面目な監督がつくる作品がどうにも苦手です。はじまりは主人公のモノローグ。もう真面目である。説明されなくてもわかりそうなことを滔々と語られましても

上白石萌音さんなら、転職しなくてもYouTuberになれば稼げるのでは?とかこんな仕事どうやって採算取ってんだよ、とか彼の昔の上司いいやつすぎるだろ、あんなブラックなSEぽい仕事どうやって回してんのよ、とかもう気になりすぎて集中できない。すべては監督の真面目さに起因するのだろう。真面目にひとつずつきちんと現実に則って作るから嘘くさい。派遣会社のスタッフがかっこいいという上白石萌音の発言は、どっかの資本が入ってそう。そんなに世間知らずなの?噴飯ものである。電通が制作した(内容は広告とは関係なく素晴らしい)パーフェクトデイズは味噌クソに貶すくせに、こういうのはお咎めなしね、という。もっと注意深く細部を観察するべきだと思う。この作品の方が遥かに電通的だし、新自由主義的な作品ですよ。しかも、アーティな見た目をしてるから余計に嫌な感じがする。

実際働いて日銭を稼いでいる我々は、クリエイターからするとこんな感じにみられてるのかな、霞食ってるみたい。評論家ってのも霞食ってるようなお仕事ですもんね。収支が事業継続が危ういレベルならもっと殺伐としてそうなもんだけどなあ。

PMSの演技もまるでてんかん発作のように大袈裟ですし、シングルマザーの母とずっと生活した身としては、さすがにアレはあり得んだろう..と思ってしまう。うちの母も生理は重かったが..きついこと言われたり、とても理解できるのだが、こういうシリアスな題材こそ、難しいことはわかるが内的な、静的な演出を期待したい。こういう泣いたり喚いたり大袈裟で安直な演出はスポンサー側への配慮もあるのか、邦画の悪しき慣習ですよね。そこから脱していない

自分が体調が悪くなることを知りながらたくさん人がいるとこにわざわざ行くのもおかしくない?(ヨガのシーン)。現実に則って、ってぜんぜん現実の女性の行動と乖離してて一貫性がないんですよね。こんな人いるか?違和感がすごいのだが。

2人が最後まで付き合わなかったのは良かったね。良かったのはそこだけかな。

俺は息を吸って吐くように嘘をつくようなそして、意地悪な監督の作品が好きです。そういう人ってわりと、観客を信用してる作家が多い気もするんですよね。その間、束の間夢を見せてくれるんです。すごいことだと思うし、それが映画の魔法だと信じています。この映画の監督は俳優は信用してても観客をあまり信用してないように感じる。観客の立場とも乖離している。そんな気がした。観客よりも、スポンサーの目を気にしてるようにしか感じられない。

言葉を言葉通りに、現実そっくりそのままに、原作に配慮して..さらにスポンサーにも気を使って、、こんなの面白い作品なんて生まれませんよ。

男女の友情?を描きたいにしても、絵に描いた餅というか、仰ることは高尚なのは理解しますが、だから?という気がしてしまいます。映画には型がある程度あると思うから、その型から逸脱するとなると、余程優れた脚本ではないと説得力も物語も生まれ得ない。この作品、物語以前という感じなのだ。

上白石萌音さんの人物像にもっとユーモアがあれば優れた作品になり得たかもしれない。笑いが生まれれば、自然と別れが感動に繋がったかもしれない。でもなんか、真面目に斜に構えてる感じがするのが嫌なんだよな。ちなみに海外の講評では笑いも起きたそうです。笑えるところあったかな。(その割に全く受賞できてないのが、そういうことなのか、と思わなくもない)

果たして上白石さん、この役に合ってたのでしょうか?もっと破天荒で剽軽な人物の方が役柄に似合っていたのでは?上白石さんに合わせて脚本変えてます?ティファニーで朝食をのパターンか?

この映画が評価されてるのは、女性映画だからでしょう。あとは広告としてでしょうか?題材は興味深いですが、映画としては及第点にも遥かに遠いと思います。

主演お二人の顔があまりにも美しいのでそれだけのために1.9点。なんかもったいないね。

追記 原作を今読んでますが、話の内容自体が全然違うんですね。これには驚きました。藤沢さん、最後までいるし。別に仕事やめないし。原作ファンが怒るのも無理はない..藤沢さんももう少し、シャキッとした感じの女の子なんですよね。一本芯があるような。だからユーモアがあるし、男気(と言っていいか)があって良いんだね。あと出だしが完全に映画と同じモノローグで始まるんですね。おいおい、いいのかそれで。原作では栗田化学はネジとか作ってる零細企業ですね。設定が全然違う。なんでこんな設定になったんだろう..移動式プラネタリウム?違和感が半端ないんだが..。脚本変じゃね?俳優に当てがきしたんでしょうね。ダメな邦画の典型のような気がします。あと原作では藤沢さんはほのかに恋をしてる描写もあります。不器用で伝えられない感じ。こっちの方が自然で好きですね。映画の方は気を衒いすぎ。
thorn

thorn