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夜明けのすべてのtsuboのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
3.5
「好きな映画何?」と聞かれたときに、映画好きが挙げたくなるような映画。それは、品があって、思索の余白があって、美しい映像と音楽に讃えられているから。

原作を読んでいる私自身にとっては、少し物足りなさも感じた。でも、好きな原作の映画化で満足したことって多分ない。だって、小説の方が単純に時間の付き合いが長い。ゆえ、愛着は湧きやすい。それから、こっちが好きなように想像ができるから、なんか違うなと思う必要もない。小説と映画は違う媒体なのだから、評価は分けて考えるべきとわかっていても、難しいよね。

個人的に、映画のオリジナルとして白眉だったのは、プラネタリウムの「夜明け」にまつわる解説。説明しすぎな節もあるが、タイトル回収は秀逸であった。

とはいえ、これってやっぱりフィクションなんだよな。現実世界はもっと残酷である。役者たちの自然な演技に導かれるように、本作がノンフィクションに位置付けられるような世界の到来を願うばかりである。
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