このレビューはネタバレを含みます
【ネタバレ有りの備忘録】
生きることが辛い、でも死にたくない。ってブログの中の言葉が印象的だった。
自分では自分のことをどうする事も出来ない…と、パニック障害に苦しむ青年役の松村北斗。
これと言って悩みもなく、バリキャリしてた時代に同僚の恋人もいて、何が原因なのか?も分からないがある日突然電車に乗れなくなると言う発作が起きて以来、いつ襲ってくるか分からない息苦しい発作にいつも不安を抱えている。
月経前になると自分自身のことがよく分からなくなり発狂と脱力感に苦しむ女性役の上白石萌音はPMS。
そんな2人が前職でうまくいかずに辿り着いたのが栗田科学。
そこの社長さんの光石研が、無理せずに個々のペースを大切にしてくれる温かくて優しい人柄で、そこで働く人々も皆同じ様に理解がある人達の集まり。
ある時、何となく気持ちが落ち着くから?炭酸水を愛飲している松村北斗に、炭酸水飲む度にペットボトルの蓋を開けると炭酸の気が抜ける音が気に障って苛立つ上白石萌音。
彼女が耐え切れなくなり怒り爆発、すかさずフォローに入る職場の人々。
またやってしまった…と落ち込む上白石萌音は、普段PMSの症状が無い時は人に丁寧なぐらい気遣いもしっかり出来る女性。
だからこそ、PMSで怒り爆発💥してしまった後は決まって周囲に謝りながらお詫びにお菓子配ったり…
何でこんなにお菓子配ったり、凄い話しかけて来たり…自分はあんましヒトに関心無いし、できれば関わりたく無いのになぁー…って感じの北斗だったが、生クリーム苦手だから要らないって断ったお菓子の次に、勘違いで甘いもの苦手ってインプットした上白石が怒っちゃったお詫びに漬物くれて、なんか変な人…だけど悪い気しないって思ったのかな?あのシーン良かった。
職場で当然発作が起きた北斗、職場の中で人々がどう対処したら良いか騒ぎになる。
たまたま落ちていた薬に気付き、もしや?と思い北斗に手渡す白石。薬を飲んだ事で落ち着く北斗。
社長に北斗を早退させるのに家まで着いて送る様に頼まれた上白石。
玄関前で、なんで薬分かったのか?って話になって、パニック障害なのか?とか、自分はPMSで飲んだ事ある同じ薬…とか、そんな話をして、お互い大変なのを励ますつもりで言ったら、同じにしないで欲しいって違和感を訴える北斗。PMSはまだまだか😅って愛想笑いする上白石。
そこからの展開が凄く良かった‼️
電車に乗れない北斗の為に、使ってない埃被りの自転車を掃除して譲ってあげたり、髪の毛を切ろうとしてた北斗に私が切ってあげる!と家の中にズカズカ踏み込んで散髪する上白石。
自分の不調が職場の人間に理解されず苦しかった2人なのに、栗田科学に転職してからと言うもの、2人の喧嘩がキッカケになって、互いの病気を知ろうと調べて見たり…どちらかが辛くなった時に、自分が得た知識で支えようとする姿がとても良かった。
人は少なからず何かしらの悩みだったり、持病だったりで生きづらさを抱えながら生きていたりする。
周囲の人間の知ろうとするキッカケで、少しでもその人の支えにつながる事もあるし、人間は皆完璧では無いから、お互い様で互助の心も芽生える。
単なる啓発キャンペーン的な作品では無かった。
人の温かさや優しさを感じる作品。
ホッコリとしたい時、誰かの支えが必要な時、アナタはひとりぼっちではないと思い出させてくれる様な、どこか勇気を頂けるお話。
北斗の元上司のヒトと栗田科学の社長が定期的に参加しているグリーフケアの会のシーンも、見ていて優しかった。
そんな居場所があるだけで、大切な人を失った悲しみを癒してくれる仲間に救われる。
ヒトの痛みが分かるからこそ、誰かに優しく出来るし、優しくされた事のある人間はまた誰かを助け様とする優しさを抱く。
北斗が上白石がやっていた様に、出先から差し入れを買って帰って来る職場のシーンも、彼自身が彼女と出会った事で良い方向へ変われた成長シーンでホッコリした。
何か大きな展開とか華やかさは無いけれど、日常にこんな優しさが溢れていたら、もっと人々は今の時代を生きる事に少しは救われるよね…と思った。
私も誰かと支え合える生き方をしたいと思った。