このレビューはネタバレを含みます
リマスターされ中砂の妖しさは少し失われてしまった気がする。ただ全体を通してみると色彩がより鮮やかになっていてよかった。
1回目見たときは青地が被害妄想を膨らませ、中砂を絶対的脅威に感じる様子を描いている作品だと思っていた。しかし2回目の鑑賞では、どうやらおかしくなったのは青地だけではなく、中砂に関わった人全員がおかしくなっているような気がした。
とか考えてみたのだけれど、終盤のたたみかけで結局煙に巻かれてしまうようで、やはり掴みどころがなく、強烈な印象だけがあとに残る映画だった。
配役の抜群さは言うまでもないが、その中でも藤田敏八は見れば見るほど、不安げなその表情の魅力が増してくる。