予告編も見ずになんかドキュメンタリー映画みたいなという気持ちだけでこの映画を見ることにしましたが、想像以上に独創的で興味深い映画でした。そんな誰にでもおすすめという作品でもないですが、ドキュメンタリー映画好きとしてはかなり気に入りました。
タイトル通り子供たちの様子を追いかけた作品でしたが、その様子がすごく興味深かったです。映画のスタンスとしてただ彼らが働いていたりしゃべっていたり、遊んでいる様子を字幕も入れずにただただ映しているだけです。それがただありのままを映して視聴者に事実をただ伝えようとしていて素晴らしいです。
すごい大変な労働をしてるのにちょっとしかご飯を食べれなかったり、貧しい生活をしている子供たちを映していましたが、映画側の演出としてかわいそうですよって表現したり、インタビューをしてどれだけ辛いかを伝えてきたりしなかったです。なので、もし自分がこの光景を見たとしたらどんな風に思うかをダイレクトに感じることが出来ました。
ドキュメンタリー映画でも、映画によっては作者の伝えたいことが前面に出すぎてて、授業っぽくなっちゃったり説教臭くて映画で映してる世界か偽物っぽく見えちゃうことがあります。そんな中で、この映画はありのままを伝えてて、本当の世界の中にいる人たちを映しているようにしか見えなかったです。
なので、けっこうこの映画は見る人によって感想が変わりそうな作品でもあります。自分的にはこの映画の最終的なメッセージがただ生きることだけが幸せなのかという問いかけだと感じましたが、そうじゃないと思う人もいると思います。
ドキュメンタリーって1つの事象を追いかけてくことが多くて感想がそんなに変わりにくいのかなと思っていましたが、かなり独特なこの映画はそうじゃないと思います。そういう意味ではアート寄りの映画、見て自分でその中身を解釈するのが好きな人にもすごくおすすめです。
強いて好きじゃないところを上げるとすれば、急に映画にbgmが入ったところがあって、そこがけっこうかわいそうですよって感じで作為的に感じて好きじゃなかったです。全体的に子供に寄り添って撮ってた所から急に違う雰囲気になったと感じましたし、そのシーンだけ明らかに他よりも浮いています。そのシーンはなくても映画は成立すると思うのでなくていいと思います。
全体を通して大きなストーリー性もないですし、多く人は退屈に感じてしまうかもしれませんが、視聴者の読み解く力に映画の評価を一任したかなり挑戦的な作品として私は評価しています。ドキュメンタリー映画好きであれば見るべき一作です。