Jun潤

交換ウソ日記のJun潤のレビュー・感想・評価

交換ウソ日記(2023年製作の映画)
3.8
2023.07.08

高橋文哉主演。
ドラマ初主演作『仮面ライダーゼロワン』は個人的に良い印象がほとんど無いものの、ふみふみ自体演技力には特に問題なく、役柄が変わればシリアスものからつよつよビジュまで見せられる今期待の新人俳優。
そんなふみふみの恋愛映画初主演もの。
あぁ、夏が来てしまった、、恋愛ものを観ようか、、。

高校2年生の黒田希美は、ある日移動教室でいつも座っている席に手紙が入っていることに気付く。
「好きだ!」そう書かれた手紙の送り主は、人気者でモテモテの瀬戸山潤だった。
突然の告白に戸惑い、最初は断る黒田だったが、それでも諦めない瀬戸山に押され、まずは交換日記でお互いのことを教え合う友達として関係をスタートする。
しかし、日記の1ページ目で瀬戸山が、手紙を渡した相手のことを黒田の幼馴染で生徒会長の松本江里乃だと勘違いしていることが判明。
すぐに誤解を解こうとする黒田だったが、瀬戸山の喜ぶ顔を見て、松本として瀬戸山と交換日記を続けることに。
松本のことや偶然一緒に遊んだことから徐々に距離を縮めていく瀬戸山と黒田だったが、瀬戸山にウソをつき続けることへの後ろめたさと、日に日に大きくなっていく瀬戸山への想いで黒田の悩みは募っていく。
瀬戸山の友達でしきりに松本に会いたがる米田と、そんな米田に想いを寄せる優子も巻き込み、高校生たちの青春は巡っていくー。

優勝は米田。
刃渡り2億センチは恋愛ソング。

こうした些細なウソから始まる恋愛ストーリーは今や王道の一つとなっていますが、一番面白いところはウソがバレてキャラ相関が一変してしまうそのカタルシスにあると思います。
それが発揮しきれない作品もある中で、今作は積んできた細かい描写を回収しつつ、相関図も一回ぐちゃぐちゃにしてからスッキリ綺麗にさせていて、なかなか良い仕上がりの作品だったと思います。

特に印象に残ったのはキャラクターですかね。
まず瀬戸山がみんなから憧れられる高嶺のキラキラ人気者であり、好きな人に対しては不器用で大胆なチェリー感溢れる男子高校生で、ヒロインを強く優しくリードする存在でもあるという、要素モリモリ主人公でした。
黒田も瀬戸山と松本を応援する友達ポジでもあり、恋するだけでなく人間として大きく成長していく、瀬戸山に負けず劣らずのヒロインでしたね。
そんな複雑な関係性の2人だけでなく、米田と優子、不器用同士のシンプルかつ超王道な恋も並行して進んでおり、描写もコミカルだったこともあって、良いコメディリリーフコンビだったと思います。

黒田が放送部員ということで、オチもすぐ察せちゃうんですけど、お昼の放送を使って曲に不器用な高校生たちの感情を乗せる演出も光っていました。
黒田も瀬戸山もマキシマムザホルモンが好きということで、序盤の描写から単なるコメディ要素かと思いましたが、自分の好きという気持ちにウソをつかない決意に対するアンサーとなっていて、やはり刃渡り2億センチは恋愛ソングです。

キャラ相関がこじれにこじれていたこともあり、相当ちゃんとした終わり方じゃないとわだかまりが残る中途半端エンドになってしまうぞと終盤まで不安を感じていましたが、そこをちゃんと作中の描写のみでロジカルに納得させにきていたし、まんまと納得させられましたね。
瀬戸山はチェリーなのかクズ男なのかどっちなんだいと思っていたらちゃんとチェリーで安心しました。

作中の描写だけでも女子高生たちと20代終盤男性ではだいぶギャップがありましたが、絶対ファンタジーだろ!な女の子同士の友情やキラキラ告白場面で鼻ズビズビの劇場内女子たちにももうついていけなくなってしまいましたよ……。
Jun潤

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