Jun潤

ディア・ファミリーのJun潤のレビュー・感想・評価

ディア・ファミリー(2024年製作の映画)
3.3
2024.06.15

大泉洋主演×福本莉子。
監督は『君の膵臓をたべたい』などの月川翔、脚本は『永遠の0』『ラーゲリより愛を込めて』などの林民夫。

「お父さんは何事も諦めない人です。」
そう語る坪井佳美の心臓には、生まれつき欠陥があった。
あと10年しか生きられないー。
そんな現実を突きつけられた父・宣政と母・陽子は、残された時間を佳美や姉妹たちとできるだけ長く過ごす、のではなく、やれるだけのことをやろうと決心する。
国内外の医者でも手術が不可能で、人工心臓の研究を臨床段階まで進めている医大も無い。
そこで宣政は、独自に人工心臓の開発を始める。
医学知識も無く、プラスチック加工工場の技術力と家族の絆だけで、娘の命を救うことはできるのかー。
娘の病状が好転することはなく、医学会にある高い壁が立ちはだかる。

んなぁ〜、これは、、どうだ?
原作や元となった話とは変わってしまうかもしれませんが、こういう作品もTBSの日曜劇場とか、東宝ではなく松竹の配給でゴリゴリの社会派作品として公開しても良かったのでは。
感動は薄まってしまうかもしれませんが、『下町ロケット』な感じも今作には多く、それもあって作中の要素が結構バラバラというか、まとまっていた印象も薄く、ストーリーの余韻に浸る間もなく流れていった気がします。

まぁ、悪い方の意味で大泉洋劇場だったなって感じでした。
大泉洋の演技や宣政のキャラクターが悪かったわけではありませんが、家族内の話ではなく医学会や病気に苦しむ人たち、描写は少なかったですが工場の社員やその家族にも少なからず影響のある話だったため、脇にいるキャラクターも相当活かさないと今作のような話はまとまりきらないと思います。

あと気になるのは物理的な距離と時系列ですかね。
最初こそテロップで年代や場所が表記されていましたが、段々と無くなっていくし、愛知と東京ってなかなか移動に時間かかるけど、そんなに往復するんかって感じだし、開発に向けて色々と試行錯誤していましたが、それも大変な時間がかかったはずなのに、西暦の表記が飛び飛びだから、時間かかってる感が上手いこと描けていなかった気がします。

娘の病気を治すための人工心臓開発は、やがて病気に苦しむ全ての人のためのカテーテル開発へ、そしてさらに次へ。
絶えず響く心臓の鼓動のように、坪井家の挑戦は続いていく。
Jun潤

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