数多の邦画ラブストーリーの中では強固なロマラブや恋愛に対するファンタジーの度合いがマシな方で、ジェンダーロールが重要視されてないのも好感触。有害さが薄いというだけでもティーン向けの映画としては及第点。同意を得ないボディタッチが多いのは気になったかな。
何だか食べログのレビューみたいになってきました。
板垣瑞生、感情を出さずにリズムに乗るように台詞を喋るから、漫画のキャラっぽくてこういう映画にピッタリだよね。桜田ひよりと『ホットギミック ガールミーツボーイ』以来（？）の競演をしてるのは同じ事務所だからという理由が大きいんだろうけど、やっぱり二人とも役者としての存在感がある。
黒田希美が瀬戸山に何かをしてもらうだけじゃなくて、家庭教師とかをしたり交換日記の件で奔走したり、アドバイスをしたりと結構ドライなギブ＆テイクをしているのが面白い。
理想的な他者像を提示してくるんじゃなくて、理想と違う現実を劇中で一つ一つ赦してくれる。言うべきことを言えなくても、嘘を重ねてしまっても、それが大きな不義理であっても、赦されることで前に進むことができる。
高校時代の恋愛だけじゃなくて、希美達の将来まできちんと描いているのが姿勢として誠実だった。カップルになることが絶対的な幸せだという価値観は他の映画と変わらないけど……。
ちなみに、劇中で"男"、"女"という単語は一言も出てきませんでした。
こういう恋愛映画がもっと増えて、もっともっとジェンダー観をアップデートしていってほしい……。
