名波ジャパン10

ライフ・イズ・クライミング!の名波ジャパン10のレビュー・感想・評価

4.3
ドキュメンタリー映画は映画作品として評価すべきではないとの意見があります。映画作品の重要要素であるスジ(ストーリー)、ドウサ(役者の演技)が欠けているからです。この作品はその議論に対する見事な回答となっています。視力を失った日本人ロッククライマーが世界有数の難関岩壁に挑むという展開自体がこれ以上ないスリリングかつ感動的なストーリーです。悲壮感の無い全盲のロッククライマーと彼を支えるガイドクライマーの気負いの無い立居振る舞いは名優の演技以上に観客に感動を与え、共感を呼びます。ヌケ(映像)に至っては全盲のロッククライマーが難関のフィッシャー・タワーの岩壁を制覇してタワーの頂上で白杖を高く掲げるシーンは、どんなCGでも再現し得ない映画史上最高の映像のひとつでした。ドキュメンタリー作品の範疇で語るべきではなく、いわゆる映画作品として手本とすべき名作です。今年の邦画No.1作品。