ポンコツ娘萌え萌え同盟

安宅家(あたかけ)の人々のポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

安宅家(あたかけ)の人々(1952年製作の映画)
3.6
吉屋信子原作映画のおかわりで見た。
少女小説の名手・吉屋信子が原作の映画と言えば川手二郎の「福寿草」や石田民三の「花つみ日記」の少女の情緒、関係、青春を色濃く映したのに対して、少女性はないが人間模様を描いた久松静児「安宅家の人々」の映像表現は前者よりだいぶ落ちついてる。
本作は知的障害を負う宗一を軸に、その妻である国子、宗一の弟譲二の美人妻雅子の人間関係や苦悩を描いてる。(あと譲二のクズっぷりもよく描かれてる)

序盤のセリフにもある通り本作の要因と"不和"が大きくあるのだけど、真面目で安宅家養豚場を護り良き妻として宗一に接する国子と、宗一と接する機会が多く純真で優しい雅子の対比を描きながら、不和の一部を生じている。
ただ描写で見えてくるのは宗一と双方の関係というより、むしろ国子と雅子の女の関係性なのが面白い。不和はあるけど、少し不思議な関係性。女流作家としての吉屋信子の手腕がここでも発揮されている。
でも本作が明確に宗一が軸だからこそ最後の展開が納得のいくものでよかったです。