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SISU/シス 不死身の男のやむちゃのレビュー・感想・評価

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)
3.8
備忘録
2023.10.29 TOHOシネマズなんば(本館)で鑑賞。

多分初めて観たフィンランド映画。
主人公コルピを演じるヨルマ・トンミラも、監督のヤルマリ・ヘランダーも全く知らなかったが、いやいや面白かった。

第二次世界大戦末期、金塊を掘り当てた主人公コルピは、敗戦間近で撤退中のナチス軍と出くわす。どうせ帰国しても処刑されるだけとわかっているナチスは、コルピを殺し金塊を強奪して逃亡しようと企むが、彼はたった一人でロシア兵を300人も殺害した伝説の兵士だった…というお話。

ストーリー的には本当にこれだけで、捻りも伏線も無い。
荒涼としたラップランドの土地で、ただひたすらコルピの戦う様を描く(ラスト以外は街も出て来ず、ただただ寒々とした風景しか出て来ない)。

コルピは決して無敵ではなく、吹っ飛ばされたり撃たれたりするし、大きな怪我もする。
が、とにかく諦めない。
裂けた傷を自分で縫い、銃創は火で焼き止血して立ち上がる。
肉体的にもマッチョではなく、年相応にたるんだ体型だが、その全身は傷だらけで、修羅場をくぐり抜けてきたのがよくわかる。

戦闘シーンは、かなりグロ描写もあり、バリエーションもあって、見応えがある。
水中で敵のノドを掻っ切って、そこから漏れた空気を吸うなんて、初めて観た。
終盤の飛行機に乗り込むシーンと墜落シーンは、流石に荒唐無稽過ぎて笑ってしまった。

ナチスの車には、捕虜というか慰みものにされる女性たちがおり、終盤コルピに助けられ蜂起する。モヤの中からマシンガンを持った彼女たちが現れるシーンは、昔のグラインドハウス映画のようなB級感たっぷりでカッコ良かった。

コルピは最後の最後までほぼ喋らず。ここまで話さない主人公というのは、今までいなかったんじゃ無いかなぁ。
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